吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年生まれの団塊の世代。シニア世代を代表し、老人の「アルバイト列伝」を日々発信。某私立大学経済学部卒。中小食品メーカーに入社。部長職に上り詰めたが、定年退職手前で会社が事実上倒産。現在はとある事情から、スポーツクラブの会員専用駐車場と大手コンビニ弁当工場のダブルワーカー。今日のテーマは「老人アルバイター回顧録 東洋医学を学んだ引きこもり」です。
老人アルバイターと隣接した存在 それが「引きこもり」
老人アルバイター評論家・吉田ゴンザブローです。
日々バイト生活を送る中、同じ年代の老人アルバイターのみならず、いろんな人種と出くわすことがある。
老人アルバイターと隣接した人種。これは、「引きこもり」だ。
現在、日本で40代以上の「引きこもり」は、60万人以上と言われている。
長期間引きこもったいい歳の子供を高齢の親が心配し、リハビリ・社会活動の一環として単純作業のアルバイトでもやらせようとする。
老人アルバイターとどっこいの階層にいる存在。
それが引きこもりである。
「東洋医学を学んでいた」という中年オヤジ 実はただの引きこもりだった
2年ほど前の話だ。
俺のバイト先のひとつ、スポーツクラブ会員専用駐車場に、とある新人が入ってきた。
片岡修司(当時39歳)。
ここは、老人アルバイターの巣窟であり、30代の働き盛りが来るところではない。何か諸事情があったのだろう。
脂ぎったボサボサの髪。歯抜けの前歯。すすけたトレーナー。
そしてなにより、履いていたジャージーはおしっこの臭いが充満していた。
一目でまともではないことがわかる。
吉田「アンタ今まで何やってたの?」
片岡『と、と、東洋医学を学んでいました』
東洋医学?
てっきり、鍼灸の修業でもしてたか、あるいはどこかの大学に籍を置き研究でもしていたかと思っていた。
しかし、そういうことではなく、片岡は大学に1浪で入学したもののなじめず、19年間自宅に引きこもっていたらしい。
正確には東洋医学を「学んでいた」わけだはなく、ただ東洋医学の本を引きこもった部屋で読んでいただけなのだ。読破した本は19年間で3冊とのこと。
何が、東洋医学を学んだだ。
片岡のお父さんは、小さな会社を営んでおり、まあまあな金持ちだったため、食うには困らなかった。しかし19年間の引きこもりの「実績」はハンパない重みがあり、将来を心配した親がバイトでもということで、連れてきたらしい。
大丈夫か?
老人アルバイターに交じってのアルバイトは、プレッシャーもなく、まあ「復帰戦」としてはちょうどいい塩梅かなと温かい目で見ていたが、そう甘くはなかった。
19年ぶりの「娑婆」は、とても緊張感にあふれていたのだろう。
出勤後、2時間働いたところで、『うわーーーーーーーー!!!!!!!!』と叫んで、車道の路肩の排水溝まで全速力で進み、そこでおもいっきり吐いてしまった。
『もうだめだー。すいません帰ります』と言うな否や、いなくなってしまった。
記念すべき復帰登板は、みごと初回でノックアウト。
その後片岡は二度と出勤しなかった。
いやー、それにしても「リアル引きこもり」をまじかで初めてみたが、その姿は凄まじい。
片岡はすでに40代に突入している。
たぶんだが、一生社会復帰は難しいだろう。
普通に働き、普通に生活できているということは、ある意味すごいことなのかもしれないね。
それにしても、引きこもりの闇は深い。5080問題解決は、ある意味一番優先順位の高いものなのかもしれない。
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