老人アルバイターのノスタルジー 個室ビデオ

吉田ゴンザブロー回顧録
吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年生まれの団塊の世代。シニア世代を代表し、老人の「アルバイト列伝」を日々発信。某私立大学経済学部卒。中小食品メーカーに入社。部長職に上り詰めたが、定年退職手前で会社が事実上倒産。現在はとある事情から、スポーツクラブの会員専用駐車場と大手コンビニ弁当工場のダブルワーカー。今日のテーマは「老人アルバイターのノスタルジー 個室ビデオ」です。

 

最近見ない「個室ビデオ」

老人アルバイター評論家・吉田ゴンザブローです。

 

最近、車に乗っていて思うのだが、「個室ビデオ」なるものを見なくなった。

15年位前までは、俺の住む町でも、半径2キロメートルに1件は存在した個室ビデオ屋。

気が付けば、ほとんどが亡骸になっている。

小学生でも、簡単にスマホで無料エロ動画を見れる時代。けっして安くない利用料を払ってまで行かないのもわかるような気がする。

 

昔は、週3~4で個室ビデオを使っていた。

自慢じゃないが、個室ビデオで使った金額は100万円は下らないだろう。

営業の途中に立ち寄り、1本見てすっきりした後、書類をまとめたりした。

あるいは、会社帰りに、しこりながら、一人反省会をしたこともある。

タバコと精液とそれをかき消す芳香剤の香り・・・。

一応、社会で居場所を確保していた管理職時代の、忘れようにも忘れられない思い出である。

 

老人アルバイターのノスタルジー。それが個室ビデオ。

あの頃はよかった。

夢はなかったが、まだまだ目標や希望があった年代だ。

 

老人アルバイター 個室ビデオ屋でアルバイトの思い出

実は、10年以上前に、俺は個室ビデオ屋でアルバイトをしたことがある。

会社を退職したばかりの頃だ。

業務は、主にお客さんが利用した個室の掃除。

精液のついたティッシュの処理、タバコの吸い殻のかたずけ、また、椅子やリモコンを除菌するのがメイン業務だ。

時給はたしか、680円。

たまに、部屋を間違えて開けてしまい、おじさんがしこっているところを目撃した時は、えらい怒られてしまった。

おじさんのオナニー現場を目撃するおじさん。ありゃ生き地獄だよ。

個室ビデオ屋の社長は俺と同じ年代の60代のおっさん。元中古車屋さんをやっていたが、その場所を再利用し、個室を5つほど作った。

社長の他は、43歳の社長の2人目の奥さんと、30歳くらいの軽度の知的障害の子と俺を含めて4人体制で店をまわしていたが、店のムードはフレンドリーでけっこう楽しかった。

しかし、そんな平和な時間は長続きしない。

俺が7ヵ月働いたある日、社長が逮捕されてしまう。何の罪なのかわからないが、届け出も何もせずに、違法営業だったんだね。

パトカー4台、警察が10人くらい店に現われて、社長は署へ連れて行かれたんだ。俺達従業員も事情聴取ということで、任意で取り調べられた。1時間ほど話を聞かれたが、バイトだからと、すぐに帰してくれた。

そして、晴れてビデオ屋は潰れ、俺はまたぞろ失業。

この「事件」は、新聞にも載り、けっこう話題になった。新聞の記事によると、その店主は3年ほどの営業期間で8千万円ほど利益を出し、脱税していたとのこと。

裁判の顛末はわからないが、噂では、実刑は免れないということで、社長はしばらく刑務所に入っていたらしい。

その後、ビデオ屋のメンバーとは一度もあっていない。

その事件のあと、同じような個室ビデオ屋は芋ずる式につかまり、また、時代背景からほとんどの店舗が潰れてしまった。

2000年代後半の頃の話。

今考えるとのどかな時代だったね。

 

※当サイトはある人物の依頼により立ち上げました。当サイトに登場する人物や職場などはすべて架空のものですが、実在する人物に取材をし、その方の話をモデルにし、本人と特定できないように大幅に修正しております。

 

吉田ゴンザブローについて
老人アルバイター

昭和24年生まれ・団塊の世代、吉田ゴンザブローは今日も生きる、生き続ける。「老害」「死んでほしい」と言われようが絶対に引くことはない。『老人アルバイターは、夢はないが、ささやかな幸せがある!』この言葉を信じて、2つのアルバイトを掛けもちする。スーパー老人アルバイター(評論家)・吉田ゴンザブローはブログで生き様を発信し続けます!

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