吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年生まれの団塊の世代。シニア世代を代表し、老人アルバイターの特徴を分析。老人の「アルバイト列伝」を日々発信。某私立大学経済学部卒。中小食品メーカーに入社。部長職に上り詰めたが、定年退職手前で会社が事実上倒産。現在はとある事情から、スポーツクラブの会員専用駐車場と大手コンビニ弁当工場のダブルワーカー。「老害」とは言わせんぜ!
老人アルバイター評論家・吉田ゴンザブローです。
今年もらった年賀状は2枚。友達のいない孤独な老人である。
さて、俺の働く弁当工場に、またぞろ新人が入ってきた。
津川康子(62)。元大手コンビニオーナー。
最近、25年続けていたコンビニを他人に営業譲渡したらしい。
休憩所で一言話しただけで、何か一味違っていた。声は通り、異様なまでに社会で揉まれた感が出ていた。
言っちゃ悪いが、家計の足しに働きに来た主婦とは一味市違っていた。
「私は、実は25年ほどコンビニのオーナーをやっていたんです。食えないわけではなかったんですが、もう疲れちゃって・・・」
痩せた横顔が痛々しい。
津川の仕事ぶりは、最高だった。てきぱきとしていて、見事な動きをしていた。
「25年間、人生をかけてコンビニやってたんです。熱が40℃あっても、胃腸炎で吐きながらも、はってでも働いてきました。」
涙が出てくるよ。
コンビニオーナーの切実な状況は、著書「人間使い捨て国家」(著:明石順平、角川新書)で読んだことがある。一部引用する。
社会保険労務士の飯塚盛康氏によると、セブン-イレブンオーナーのあまりに悲惨な実態は、次のとおりである(2019年3月5日付ビジネスジャーナル「セブンの店舗オーナー、死亡率が官僚の6倍?オーナーが不眠で50時間連続勤務の例も」を引用)。
(略)
たったの1年で43人死亡。さらに就業不能見舞金の支給もたった1年で490件。あまりの数字に絶句する。この大きな要因は異常な長時間労働であると思われる。
コンビニオーナーは、フランチャイズ本部と契約する個人事業主であり、労働者ではないと扱われている。当然、労基法の保護の範囲外にあるため、労働時間の規制は一切及ばない。だから、無限の長時間を強いられいる。
そんな話は、よく耳にしていたが、本当だったんだね。
約25年間、全てを投げうって、コンビニの経営に打ち込んできた津川。
自由の身になった今、心なしかほっとした顔をしている。
「人生の半分近くをコンビニの経営に費やしてきましたが、全く財は残せませんでした。ただ店を維持していただけみたいなもんですね。まぁー、借金がないだけまだましかもしれませんね。ハッハッハ・・・」
人に使われてるのが一番楽ですね・・・
そう続ける津川。
そうかい、ご苦労さんだったね。
津川さんよ。
残りの人生、楽しもうね。
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