吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年1月2日生まれ。シニア・団塊の世代を代表し「老人アルバイト伝説」を毎日発信している。サラリーマン時代はは経理部長を務めていたが、現在はアルバイトを2つかけもつ下流老人。今日のテーマは「女版・老人アルバイターの必須アイテム あめちゃん」です。老害とは言わせんぜ。
おばさんは「あめちゃん」で世間を渡りきる
老人アルバイター評論家・吉田ゴンザブローです。
老人アルバイターはおばさんにいじめられたら最後である。
老人のできることはたかがしれている。
軽作業のアルバイトをやるとなれば、当然おばさんのパート職員とセッションすることを避けることはできない。
おばさんは怖い。嫌い認定を受けたらとことん差別されるからだ。
おばさんから明らかに嫌われていると気づくことがある。それは「あめちゃん」をもらえない時だ。
飴をもらえているうちが華だ。
自分以外のアルバイトがみんな飴をもらっているのに、もらえないなんてことがあったら確実に嫌われているといえるだろう。
おばさんパートの必須アイテム。これぞあめちゃんなのである。
飴を舐めていたら痛い目にあうぞ。
いや、これはシャレでもなんでもないんだよ。
野菜選果場で差別認定を受ける あめちゃんを貰えず傷ついた
俺は、会社を辞めた後、しばらく派遣会社に登録し、短期のアルバイトを繰り返していた黒歴史がある。
黒歴史というくらい、辛い出来事の連続だった。
60代の老人ができる仕事などほとんどない。だから、せいぜい「軽作業」と呼ばれる単純作業のバイトにありつけるだけ幸せだった。
いつだったか正確には覚えていないが、10年以上前、ニンジンの選果場に派遣されたことがあった。
最初はニンジンを箱詰めして、梱包するセクションでの作業と聞いていたが、何故だかベルトコンベアーの前に立ち、MだのLだのニンジンをサイズ別に仕分ける部署に回されることになった。
ただサイズを仕分けするだけでは許されるはずもなく、ハネ品と製品を厳密に仕分けなければならない。ベルトコンベアーには一度にニンジンが何十本と流されてくるんだけど、それを瞬時に見分けなければならないんだ。そんな作業が2時間くらい連続で続く。
ただでさえ、ドンくさい俺は作業がおっつかなかった。ふがいない俺に対し、ばばあ連中が白い目で見るようになるまで時間はかからなかった。
ある日の休憩時間、リーダー各のおばさんが俺の前に立ちはだかる。
「あのさー、おじさん、もう少しちゃんとやってくれないかなー。なんでもかんでもニンジンを流せばいいってもんじゃないの。サイズ別にちゃんと分けてよね。ホント怒るよ」
農作業をするときに着るようなシャカシャカな上下を着たおばさんは、べたなおばさんパーマをかけていた。
気が付けば、俺は浮き上がっていた。いつのまにか、休憩時間に誰も俺に飴をくれる人がいなくなった。
おばさんの多い職場で飴を貰えなくなったら、それは「戦力外通告」を意味する。
俺はその職場に3ヵ月がまんして居座ったが、ついぞニンジンの選果はうまくできるようにならなかった。
最後のほうでは、誰もあいさつもしてくれない・・・
俺は、何度か機嫌を取ろうとして飴をあげようと買ってきたが、それをおばさん達に渡す勇気もなく、一人悲しく舐めておりました。
生きていくというのは、本当に大変だなと思ったものですよ。60歳過ぎてね。
※当サイトはある人物の依頼により立ち上げました。当サイトに登場する人物や職場などはすべて架空のものですが、実在する人物に取材をし、その方の話をモデルにし、本人と特定できないように大幅に修正しております。
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