吉田ゴンザブロー
老人アルバイター評論家。昭和24年生まれの団塊の世代。老人アルバイターの特徴を解説し、それを通じて世相を鑑みる「愛の語り部」。某私立大学経済学部卒。中小食品メーカーに入社。部長職に上り詰めたが、定年退職手前で会社が事実上倒産。現在はとある事情から、スポーツクラブの会員専用駐車場と大手コンビニ弁当工場のダブルワーカー。彼こそが、真の老人アルバイターであり、自他ともに認める人格者でもある。「老害」「死んでほしい」とさげすまされても、けっして引かない姿勢が信条。(写真はイメージ)
老人アルバイター評論家、吉田ゴンザブローです。
老人アルバイターの生態を解析し、世の中をぶった斬るのが俺の生業だ。
さて、老人がアルバイトを始める理由として、生活が苦しいということもあるがそれだけではない。
キーワードは「孫」。
そう、孫にお小遣いをあげたい。孫に何か買ってあげたいという思いからアルバイトをはじめる者は多い。
俺も、けっこう孫がモチベーションになっている。もちろん生活を補うためのバイトだが、孫の前でいいところを見せたい。孫は本当に可愛いし、目に入れても痛くない。
しかし、最近気が付いたが、俺は今、孫が大嫌いだ。もう何も買ってやる気もおきない。
きっかけは「角帽」だ。
俺は昭和24年生まれの団塊の世代だが、一応大学を出ている。たいした大学ではないが、当時の大学進学率は2割を切るくらいだから、まあまあだろう。
けっして裕福ではなかった。親父は病気で、お袋が商売の切り盛りをして大学まで出してくれた。
思い出の角帽。おふくろと大学の正門前で記念写真を撮った時にかぶっていた角帽。青春の思い出角帽。
木の箱に入れて保管していたそれを、断りもなしに孫は捨てやがった。
「断捨離」だって?舐めんなガキ。
俺の角帽を返せ。思い出を返せ。
よく知らないと思うから、はっきり言っておく。俺は根に持つタイプだ。
今年は誕生日に何も買ってやらんからな、覚えてろ!
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