吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年生まれの団塊の世代。シニア世代を代表し、老人の「アルバイト列伝」を日々発信。某私立大学経済学部卒。中小食品メーカーに入社。部長職に上り詰めたが、定年退職手前で会社が事実上倒産。現在はとある事情から、スポーツクラブの会員専用駐車場と大手コンビニ弁当工場のダブルワーカー。今日のテーマは「非正規雇用内の階層の構図は複雑 老人アルバイターの苦悩」です。定年後・老後の人生の幸せは、あなた次第です。
正規雇用VS非正規雇用だけじゃない 非正規雇用内のヒエラルキー
老人アルバイター評論家・吉田ゴンザブローです。
コロナ不況で絶望的な世の中だが、コロナ以前もじゅうぶん不景気だったよね。働く人の3割以上が非正規雇用なんだってね。
夢が正社員だなんて、ひどい世の中だ。死にたくもなるよ。
しかし、問題は正規雇用と非正規雇用の対立構造だけではない。
非正規雇用内でのヒエラルキーも超絶ひどいもんだよ。
俺は、以前、ハケンで大手運送会社のベースやら倉庫やらでバイトしていたことがあった。
ここは、収容所のような場所で、楽しいことなどひとつもない。ハケンで働く初老のおっさんなど誰も声をかけてはくれない。
険悪な職場。それには理由がる。
そこは、非正規雇用の巣窟だったから。しかし、非正規雇用は一枚岩ではなく、そこには厳然としたヒエラルキーがあるのだ。
30人くらいの所帯の職場なら、社員はせいぜい2人くらい。つまり正規雇だよね。あとのメンバーはすべて非正規雇用で満たされている。これが現実だ。
非正規雇用のヒエラルキー クセが強い!
俺がいた運送会社のメンバー構成は以下のようだ。
まず、正社員が2人。いわゆる管理職かそれに近い立場。つまり正規雇用である。
次にエース格の契約社員が5人。かなり責任のある仕事を任されているので、下々の者から見て社員とか契約社員とかわからない。リーダーと呼ばれてる人達。あと、社会保険がついたパートが8人。これらのひと達は会社のユニフォームを着ている。大まかに「社員」と呼ばれたりする。
その下に位置するのが、直接雇用の日雇い労働者だ。この人たちは、社会保険をつけたくないので、2ヵ月働き1ヵ月休ませるという変則的なシフトを組まされる。これが7人。
そして我々ハケンが8人だ。
アメリカ大リーグも真っ青の組織構図だ。
弱い者がさらに弱い者を叩く 非正規雇用は「戦時中の二等兵」だ
これが驚くことに、我々が、話かけられることができるのが、日雇い労働者だけなのだ。
同じ非正規雇用とはいえ、会社のユニフォームを着ているパートとは、とてつもない壁がある。話かけるなどもっての他。
いや、露骨に無視される。
「ハケン、うぜ~・・・」ってな空気を体全体を使って醸し出してくる。
だから、仕事でわからないことがあると、パートには聞けないので、リーダーと呼ばれる契約社員に聞くことになるんだ。
このリーダー達は、ものすごい仕事ができる人達なのだけど、給料が超絶安い。可哀そうなのでここでは金額は言わないが、責任だけ持たされて理不尽極まりない。
では、唯一話かけられる日雇いがみんな親身になってくれるかというと、そうとも限らない。
俺が少しシンパシーを感じていた日雇いさんと談笑していたら、別の女性の日雇いがその人を呼び止めて「あんた、よくハケンと話できるよね。私ならハケンは無視するけど」と言いやがった。
俺は、あの言葉は一生忘れない。
リーダーでもひどい人がいた。「おめーら、一箇所に固まるなー」、「くっちゃべってねーで、動けや」、「早くやれやー」などと部活の新入部員を扱うみたいに怒鳴りつけるのだ。
さて、読売新聞のナベツネこと渡辺恒雄は戦争経験者で、戦争反対論者だ。
「戦地に行って理不尽な暴力を受けてばかりだったから、戦争はぜったいに反対だ。ところで、暴力をふるったのは上官ではなく、2ヵ月くらい先に入隊した同じ二等兵なんだよ」
ナベツネは確かそう言っていた。
これが非正規雇用の世界にも当てはまのではないか。
弱い者がさらに弱いものを叩く。
たまらない世界だ。
こうなったら、いじめたヤツの胸ぐらつかんで、ケンカこくしかないぜ。
いつまでも弱いと思うなよって・・・
※当サイトはある人物の依頼により立ち上げました。当サイトに登場する人物や職場などはすべて架空のものですが、実在する人物に取材をし、その方の話をモデルにし、本人と特定できないように大幅に修正しております。
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