吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年1月2日生まれ。シニア・団塊の世代を代表し「老人アルバイト伝説」を毎日発信している。サラリーマン時代はは経理部長を務めていたが、現在はアルバイトを2つかけもつ下流老人。今日のテーマは「土地相続で実兄に殴られ失明した老人アルバイター」です。死んでしまいたいよ、まじで。。。
アニキに殴られ失明した老人アルバイター
老人アルバイター評論家・吉田ゴンザブローです。
もう4年くらい前だが、俺のバイト先のスポーツクラブ会員専用駐車場に、いかにも冴えない男が入ってきた。
木原道夫(60歳)。
小太りで、低身長。赤いバンダナに杉ちゃんみたいなそでの無いジーンズを着ていた。
服装は相当ダサかったが、問題はその顔だった。
ブサイクとかそういうことではなく、左眼が半分くらい飛び出ていた。
「アニキに殴られたんです」
兄弟げんか?
「はい、東北の田舎町で先祖代々農家をやっていたんですが、そろそろ手じまいにするということで、二人兄弟の長男と土地の相続で揉めまして、長男にぶん殴られ土地を追われて、嫁さんの実家に近いこの土地に逃げてきました」
けっきょく、木原は土地を全部アニキに取られてしまったという。
アニキに殴られ、左眼が飛び出てしまい、視力もほとんどなくなりました。裁判も考えましたが、アニキと縁を切って、一から出直すということで、全てあきらめました。
すごい列伝をお持ちな木原だ。
まるで、なかにし礼の「兄弟(文春文庫)」にでてくるアニキじゃないか。
使えない男「農家出身ですから・・・」
最初は、実の兄に顔を殴られ、片眼を失明しかけた木原に同情していた俺であったが、そのうち、木原の兄の気持ちがわかるようになってきた。
木原はとてもドンくさい男だったのだ。
毎日遅刻し、休憩時間は寝過ごし1時間のところ2時間くらい取る。
仕事は覚えないし、メモも取らない。
何を言ってもニヤニヤして聞き流している。
俺は一度、こっぴどく叱ってやったが、「だらしない仕事をするのは、農家をやっていたから」とわけのわからない理屈を述べていた。
要するに、農家は自営業なので、時間や指揮命令系統に縛られたことがないと言いたいのだろう。
そんなこんなで、1ヵ月経過した後、木原は、夜帯だがフルの仕事が見つかったとのことで、駐車場の管理人の仕事を辞めてしまった。
木原は駐車場の管理人を辞めて、何の仕事に就いたと思う?
それが、俺の働く弁当工場だったのさ、これが。
部署は違ったが、仕事ぶりはよく見える。弁当のラインに配属された木原は、そこの主とも言われている太った中国人の金さんとかいうおばさんにこってりいじめられて、泣きべそをかき、一日で辞めてしまった。
金さんは「キハラぜんぜんだめだよ」と怒り心頭だったよ。
そして、その5日後、信じられない話だが、またぞろ俺のバイト先である駐車場に戻ってきたのである。
採るほうも採るほうだが、とんでもなく図々しいジジイだ。
そして結論から言うが、木原はその1ヵ月後、よくわからない理由で辞めてしまった。
もう一つの眼も飛び出すくらい殴ってやろうと思いましたよ。
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