吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年生まれの団塊の世代。シニア世代を代表し、老人アルバイターの特徴を分析。某私立大学経済学部卒。中小食品メーカーに入社。部長職に上り詰めたが、定年退職手前で会社が事実上倒産。現在はとある事情から、スポーツクラブの会員専用駐車場と大手コンビニ弁当工場のダブルワーカー。
老ター評論家、吉ゴンです。
10年以上前、道路区画線工事、そう、いわゆる「ライン屋」でアルバイトをしたことがある。
4月〜6月頃、通行止めにして横断歩道なんかを引いているあれ。オレンジ色の作業着着たあんちゃん達が、作業しているだろう。あれの短期のアルバイトをやったのさ。
横断歩道のみならず、センターラインや車境線なども引いたりする。これは人間がやるのではなく、専用の工事車両で引くことになる。
時たま、高速道路に行ってラインをひくこともあるんだけれど、そこで様々な事件がおこるから油断もすきもありゃしない。
いつか、高速道路での仕事があった。
作業が終了し、インターチェンジを出てすぐのところに、ちょっとしたスペースがあったので、そこに工事車両を止めて、反省会をすることになった。
その時事件が起きた。
同じ短期の老人アルバイター、槙原武(60)がいきなり変なことを言い出す。
「なんか匂うな・・・。監督さん、あの草わらへん、怪しいですよ!」
?
槙原は20メートルくらい離れた草わら付近にずかずか近づき、「何か」が入っているスーパーの袋を拾ってきた。
これは匂う・・・。
ホントに匂っていた。使用済みの巨大バイブがでてきたんだ。
ひとつひとつ中身をチェックしていく。なんとそれははSMセットだった。
巨大なバイブのみならず、仮面、鞭、手錠、つかいかけのローソク。
処分に困ったSM愛好者がそこ捨てにきたんだろうね。
その日の晩は、その話でもちきりになり、作業員みんなの一体感ができあがった。
それにしても、槙原の嗅覚はすごい。スーパーの袋を見て、すぐ大人のおもちゃだと気づいたんだから。
「実は、自分もSM好きで、道具の処分に困ると、高速道路付近の草わらに処分しにくるんで、もしやと思ったんですよ(笑)」
人生色々だ。
これが老人アルバイターの現場の実態である。
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