吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年生まれの団塊の世代。シニア世代を代表し、老人アルバイターの特徴を分析。老人の「アルバイト列伝」を日々発信。某私立大学経済学部卒。中小食品メーカーに入社。部長職に上り詰めたが、定年退職手前で会社が事実上倒産。現在はとある事情から、スポーツクラブの会員専用駐車場と大手コンビニ弁当工場のダブルワーカー。「老害」とは言わせんぜ!
ドライバー助手を初体験
老人アルバイター評論家・吉田ゴンザブローです。
以前、派遣会社に登録し、大手運送会社でアルバイトをしたことがある。
その時、一日だけ、下請けの運送会社のドライバー助手をすることになった。
そのドライバー・広岡(敬称略・40代半ば)は、なんせ「クセが強い」男だったので、是非とも紹介したい。
広岡は、一見とてもやさしかった。年上の俺にも気さくに声をかけてくれた。
「今日はお手伝いいただき、ありがとうございます。荷下ろしがけっこうありますが、無理せず、マイペースでやってください」
本当にやさしい男だった。
しかし、車中での、広岡の喋るエピソードは、相当エグかった。
広岡は、なんと人生で死体をたくさん目撃したことがあるというのである。
「どうも、感じるんですよ。何か匂うなって・・・。近付いていったら、そこには必ず死体があるんです」
意味不明である。
「まだ、20代の頃の話です。僕はある友達の家に遊びに行ったんです。その友達は彼女と同棲していました。そいつらが、買い物に行って、なぜか僕だけ家で待つことになったんです。その時、つい出来ごごろで、タンスを開けてしまいました。彼女のパンティやブラジャーを見たかったからです。しかし、そこにあったのは・・・」
広岡が明けたタンスからでてきたのは、彼女の下着ではなく、なんと、「赤ちゃんの死体」だったというのだ。
「いやー、びっくりしましたよ。その彼女が産み落とした『赤ちゃんの死体』らしきものが出てきたんです。」
まったく意味不明である。
「いやー、前も仕事で、川添の国道を運転していたら、何か匂ったんです。川まで下りていったら、木の枝にロープを括りつけて、自殺した男性を見つけました。ざっと死後3時間くらい経過してましたね。」
死後経過時間までわかるのか?
死体を13体も見たドライバー
広岡の助手は5時間ほど続いたが、荷下ろし以外は全て死体の話だった。今までで見た死体は何と「13体」とのことである。
俺は、途中で吐き気がした。もちろんクルマに酔ったわけではない。広岡の話があまりにもえぐかったからだ。
無事、トラックが到着し、広岡の助手の任務は終わった。
「僕の死体のはなし、誰にも言わないでくださいね」
口止め料とか言って、チョコレート菓子「コアラのマーチ」の小袋をくれた。何の口止めなんだか・・・。
広岡とは、それ以来あっていない。たぶんだが、広岡はただのバカなんだと思う。
俺は言われた通り、死体の話は誰にも漏らしていない。
※当サイトはある人物の依頼により立ち上げました。当サイトに登場する人物や職場などはすべて架空のものですが、実在する人物に取材をし、その方の話をモデルにし、本人と特定できないように大幅に修正しております。
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