吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年生まれの団塊の世代。シニア世代を代表し、老人の「アルバイト列伝」を日々発信。某私立大学経済学部卒。中小食品メーカーに入社。部長職に上り詰めたが、定年退職手前で会社が事実上倒産。現在はとある事情から、スポーツクラブの会員専用駐車場と大手コンビニ弁当工場のダブルワーカー。今日のテーマは「寿司を食べていじけた老人アルバイター」です。老人の戯言にお付き合いください。
自立できていない老人アルバイターは一人でご飯を食べれない
老人アルバイター評論家・吉田ゴンザブローです。
いい歳して、ご飯を一人で食べられない男っているよね。
老人アルバイターの中にもそんなヤツはけっこういるよ。
ご飯を一人で食べられない男の特徴として挙げられるのは、虚栄心が強く、権威主義。しかし自尊心が低く、精神的に自立できていない小心者が多い。
そして意外に、地位が高かったりする。
食べるという行為は、素に戻るわけだから、潜在的な弱さと向き合う行為でもある。
これが怖くて、一人ではぜったいご飯を食べない男は多い。
寿司を食べていじけた老人アルバイター
一人でご飯を食べれない男は、みんなでご飯を食べるのも苦手だ。
ここでも自立できていない自分を露呈してしまうリスクがあるからである。
老人アルバイターの加賀利信(66歳)は元高校の校長。
こいつは、やたらと豪快な人間ぶるのだが、小心者で心が自立できていない男だった。
2年前、こいつ含め、老人アルバイター4人でご飯を食べたことがある。
百貨店の最上階の飲食店街。
何たべようか。みんなどうでもいい感じだった。誰かが「寿司でも食べよう」といいだした。
何でもよかったので、すし屋さんに入り適当に食べていんだが、加賀はあきらかにいじけた態度をしていた。
加賀は涙ぐんでいた。最初はあまりにも寿司が好きすぎて、久々食べて感激しているのかと思っていたが、違った。
加賀は震えた声で言った。
「寿司なんて食べたくなかったんだ」
『お前、寿司嫌いか?』
「・・・・・」
いや、嫌いではないだろう。けっこうパクパク食ってるぞ。どうした加賀?
その後、加賀は一言もしゃべらず、終始いじけた態度で食べていた。そして、会計を終えると無言で帰っていった。意味不明である。
ここからは、俺の想像だが、加賀は本当はとても食べたいものがあったのにもかかわらず、誰かの「寿司を食べたい」という鶴の一声で、形勢が不利になってしまってことに「敗北感」を感じてしまったのではないだろうか。
「中華をたべたい!」
本当はそう言いたかったが言えない弱い自分。
虚をつかれた加賀は、いじけるしかなかった。
まー、気持ちはわからなくもない。
しかし、いい歳のジジイが、食事会で人に不愉快な思いにさせた罪は大きい。
俺は翌日、加賀に言ってやった。
『ばーか!』
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