吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年生まれの団塊の世代。シニア世代を代表し、老人の「アルバイト列伝」を日々発信。某私立大学経済学部卒。中小食品メーカーに入社。部長職に上り詰めたが、定年退職手前で会社が事実上倒産。現在はとある事情から、スポーツクラブの会員専用駐車場と大手コンビニ弁当工場のダブルワーカー。今日のテーマは「パワハラの後遺症で苦しむ老人アルバイター」です。老後の心配はつきないが、みんな頑張ろうぜ!
パワハラを侮るべからず 老後を棒にふるいかねない
老人アルバイター評論家・吉田ゴンザブローです。
うちのバイト先に、中田哲也(62歳)という大人しいヤツがいる。
現役時代はまあまあな会社のサラリーマンで、悠々自適な生活をしていると思っていたが、そうではなかった。
ヤツは、58歳でうつ病を発症。その1年後には会社に行けなくなり辞めてしまう。
うつ病発症の原因は、上司のパワハラだったという。
「大学を出てから同じ会社で楽しく働いていました。ところが、経営母体が変わり、社風もおかしくなりました。私は経理の責任者だったのですが、いやがらせだったんでしょうね、総勢8人いた社員を6人移動させ、ハンパない量の仕事をさせるようになったのです。休日返上で働きましたが、そのうち滞るようになりました」
中牟田は、結婚は遅く、大学生1年生の息子がいた。50代後半になって仕事など見つかる当てはなく、石にかじりついても辞めまいと頑張っていた。
「毎日、社長や役員連中に呼び出され、怒鳴られるんです。ちょっとしたミスも「お前のせいだ」とガンガン責められるんです。ときに殴られることもありました」
唯一味方をしてくれる役員がいたらしいが、ある日その方から飯を誘われた。
「ついつい気を許し、社長や役員連中の愚痴をこぼしたんです。しかし、その役員はスパイで、その「悪口」をICレコーダで録音して、社長に聞かせていたんです」
翌日、社長に呼び出され、こっぴどく怒られた。「お前、こんなこと考えていたのか。嫌ならやめちまえ!」と。
ある朝、中牟田は会社に行けなくなってしまう。布団から起き上がれなくなってしまったのだ。
「精神科を受診したら、うつ病と言われました。その後、寝たきりの状態がしばらく続き、いわば、廃人のごとくなってしまったんです」
弁護士に依頼し、労災申請したが、不支給となる。あとでわかったが、弁護士は着資金20万円をとりながら何一つせず、手下の社労士に仕事を丸投げし、ただ申請しただけだった。
『中牟田さん、今回は残念でしたね。不服申し立てをするので、着資金をもう20万円いただきます』と弁護士から言われたところで、労災はあきらめたという。
「不幸は続くもんですね」
涙ながらに呟く中牟田。
うつ病と闘いながら老人アルバイターとして生きる
中牟田は、労災をあきらめ、障害年金を受給しながら、自宅で療養生活を送っていたが、数カ月前にリハビリがてら障害者枠でアルバイトを始めたということだ。
まだ、俺からみても寛解しているとは思えない。継続して働けるか心配である。まー、みんなで、フォロ―していくしかないだろう。
中牟田は、未だに会社での出来事が夢に出てきてうなされるという。
「病気は死ぬまで治らないと思います。しかし、幸い息子も就職がきまり、一安心です。まずはバイトを頑張り、みなさんにご迷惑をかけないようにしたいと考えています」
どこまでもまじめなんだ、中牟田。
それにしても、会社のパワハラは怖い。人格を破壊してしまうんだから。
俺は、そこまでイジメられたことがないから、その気持ちは完璧にはわからない。
もし、自分がこんな感じで会社の役員などにいじめられたら、正気でいられるだろうか。その自信はない。
しかし、うつ病で老後を棒にふるうくらいなら、もう捕まってもいいからケンカこいてぶん殴っちまったほうがいいような気がするな。実際は難しいだろうけど。
ていうか、そこまで頑張らないで、逃げるというのもありかも知れない。
中牟田の今後を祈るばかりだよ。
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