吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年生まれの団塊の世代。シニア世代を代表し、老人の「アルバイト列伝」を日々発信。某私立大学経済学部卒。中小食品メーカーに入社。部長職に上り詰めたが、定年退職手前で会社が事実上倒産。現在はとある事情から、スポーツクラブの会員専用駐車場と大手コンビニ弁当工場のダブルワーカー。今日のテーマは「自由からの逃走 スーツで出勤する老人アルバイター」です。
自由から逃走する老人 会社をやめても自立できない人間は多い
老人アルバイター評論家・吉田ゴンザブローです。
「会社人間」なんて今時流行らないが、いまだにそんなヤツはいっぱいいる。
サラリーマンを卒業してもまだそんな感覚のヤツがいるから、どうにもならないね。
劇画チックに「会社員時代の苦闘」を自慢気に話す輩もいるが、実にくだらねー。要は、与えられたことをただこなしているだけ。思考停止状態で生きているに過ぎないのだが、会社にいれば世間が認めてくれるから、その弊害については深く考えることはない。
しかし、早かれ遅かれ、会社を辞めるんだから、なるべく早めに、「会社頭」から切り替える努力をすべきだ。後の人生苦労するぞ。
最近、62歳で役職定年になり、会社を辞めて俺のバイト先にいた男がいる。
太田一平(62歳)だ。
こいつは、面接の時スーツを着てきた。
汚い作業着で働くんだから、スーツなんて着てくるなと思っていた。
けっきょく、いっしょにバイトすることになったんだが、見ていて腹が立つ男だ。
出勤時間の30分前には必ずといっていいほど職場に着いているし、出勤のスタイルもいまだにスーツだよ。
「太田さん、そんなに早く出勤することないよ。ぎりぎりでいいよ。それに作業着に着替えるんだから、スーツなんて着てこなくてもいいよ」と俺は教えてあげた。
しかし、太田は『サラリーマンの時はいつもこうしていた』だの『俺のスタイルだから変えられない』とか屁理屈こいている。
要は、太田はサラリーマン時代の自分にしがみついているだけ。会社人間から脱出していないんだよね。
つまり、個として自立していない、情けない男だ。バカといってもいい。
俺はこういう男が大嫌いなんだよ。
エーリック・フロムの「自由からの逃走」 老人アルバイター必読の書
つい最近読んだ本がおもしろかったので、みんなに紹介したい。
『ひとはなぜ「自由」から逃走するのか エーリッヒ・フロムとともに考える』(著:仲正昌樹、KKベストセラーズ)である。
この著者は哲学者でなんだかよくわからないことを言っているんだけど、ちょっとひっかかるところがあるので、一部摘記する。
人々は、古い絆から解放開放されたという意味で自由になったものの、増大した選択の数に見合うだけの自己実現の環境は整備されていない。「積極的自由」にスムーズに移行できないがゆえに、「消極的自由」は開放感以上に不安をもたらしたのである。
会社から解放されてもなお、会社にしがみついている老人アルバイターのことを言っているのではないかとドキっとしてしまう文章である。
俺は、定年になったら、よほど能力が高い一角の人物でない限り、元の会社に再雇用や雇用延長を求めないことを勧めている。
せっかく、会社を辞めて個として自立するチャンスなのだから、ぜひとも環境を変えるべきである。
老人アルバイターは試されているんだ。
前の会社での地位や実績にこだわっているうちは、まだまだ半人前だ。
スーツやネクタイを脱ぎ捨て、一老人として、日々淡々と自由に生きられるようになった時、あなたの人格がまたひとつ上のステージにかけあがる。
「人生は人に見せるものではない」とはテレフォン人生相談の加藤諦三先生が言っていた。
まずは、自分自身と向き合おう!
会社員時代の感覚が抜けないなんて、なんの自慢にもならない。自立できていないだけのクズ人間だ。
老人アルバイターよ、スーツを脱げ、そして、遅刻ギリギリに出勤せよ。
そして、あまった時間を自分を見つめる時間に費やそうではないか・・・
まー、俺は金がないからアルバイトを2つかけもっているだけなんだけどね。
※当サイトはある人物の依頼により立ち上げました。当サイトに登場する人物や職場などはすべて架空のものですが、実在する人物に取材をし、その方の話をモデルにし、本人と特定できないように大幅に修正しております。
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