吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年生まれの団塊の世代。シニア世代を代表し、老人の「アルバイト列伝」を日々発信。某私立大学経済学部卒。中小食品メーカーに入社。部長職に上り詰めたが、定年退職手前で会社が事実上倒産。現在はとある事情から、スポーツクラブの会員専用駐車場と大手コンビニ弁当工場のダブルワーカー。今日のテーマは「脊髄損傷した老人アルバイター 転倒をあなどるな!寝たきりになるぞ」です。
老人が幸せに生きるためには、お金が必要なのは間違いないが、やはり一番大事なのは健康である。
先日、老人アルバイターの一人が、突如やめてしまった。
理由は、転倒。たかが転んだだけで、バイト辞めるなよとバカにしていたんだが、そう簡単なものではないらしい。
老人に何がおこったのか?
転倒し、寝たきりになった老人アルバイター
老人アルバイター仲間の一人が突然やめてしまった。
大鹿尚二(69歳)。
先日、俺の休みの日に会社から電話がきた。「大鹿さんが体調悪くて来れないから、代わりに来てくれ」とのことだった。
聞くと、大鹿は家の前ですべって転んだんだってさ。ドンくさいやつだなー。
最初はそう考えていた。
しかし、大鹿はかなり重篤な状態だったのだ。
たかが転倒と舐めてはいけない。
死者数は交通事故死の約2倍なんだって。転んだだけで死んでしまう人が毎年少なからずいるらしい。
「老人殺すにゃ刃物はいらねぇ。すべる道路があればいい」ってね。
老人の体は極めてデリケートだ。がんや脳卒中と同じくらい恐ろしい。それが転倒のリスク。
雪国に住む老人にとって、冬の外出は命がけなんだよ。
脊髄損傷で車椅子生活を余儀なくされる
大鹿は、朝、アルバイトに出ようとして、自宅前で仰向けの状態で転倒。救急搬送されたらしい。
凍り付くほどの寒い日。つるつるですべっちまったんだね。
診断名は「脊髄損傷」。下半身に麻痺が残り、歩行もおぼつかなくなってしまう。
その後、老人アルバイター仲間数人で、お見舞いに行ったが、見ちゃいられなかった。
歩行は、相当時間をかけて、辛うじて数歩だけできるらしいが、単身での歩行は不可能。
日常生活の多くは奥さんに依存していた。
見舞にきた俺たちを見て、大鹿は涙ぐんでいた。俺達も少し泣いたかもしれない。
「お前、何転んでんだよー」
俺はあえて冗談ぽく話しかけた。
『ごめんな、バイトもう行けないよ』
気丈にふるまう大鹿。痛々しかったよ。
しかし、こんな時にでも、不謹慎と思いつつ、俺は大鹿の下半身事情について気になってしまった。そういう性分なのだ。
「大鹿、お前もう風俗行けないなー。だいじょうぶか?」
帰りしな、聞いてみた。
『それが、ちんちんのところだけ、少し神経が残ってて勃つんだよねこれが。コロナが明けたら、車椅子押して風俗連れてってくれよ』
おおー、その意気だよ。大鹿。
車椅子で行ける風俗探しておくから、それまで元気でいてくれよ!
高齢者のみなさん、転倒にはくれぐれも気を付けてくださいね。
※当サイトはある人物の依頼により立ち上げました。当サイトに登場する人物や職場などはすべて架空のものですが、実在する人物に取材をし、その方の話をモデルにし、本人と特定できないように大幅に修正しております。
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