吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年生まれの団塊の世代。シニア世代を代表し、老人の「アルバイト列伝」を日々発信。某私立大学経済学部卒。中小食品メーカーに入社。部長職に上り詰めたが、定年退職手前で会社が事実上倒産。現在はとある事情から、スポーツクラブの会員専用駐車場と大手コンビニ弁当工場のダブルワーカー。今回のテーマは「悲報!とにかく明るい老人アルバイター死す・・・」です。
老人アルバイター評論家・吉田ゴンザブローです。
老人アルバイターの現場は楽しいことばかりじゃない。老人は常に死と背中合わせだ。
先日、バイト仲間のある男が死んじまった。
仲河周次(享年67歳)。通称シュージ。
死因は食道がん。昨年一度バイトに復帰したが、再発後、3ヵ月であの世へ行っちまった。
早すぎる盟友の死に涙が止まらない。
「とにかく明るい仲河」と言われていた男
シュージは、つい数年まえまで、とある温泉街で、奥さんと旅館を経営していたが、廃業。60歳を過ぎて老人アルバイターとなる。
「とにかく明るい仲河」と言われていたほどの陽気な男。
毎日同じテンションで、下ネタをふりまき、俺達に勇気を与えてくれた。
十八番「マン臭のきつい女」は、俺の中で一生忘れることができないネタだ。
自分のカミさんのマン臭を口外する老人アルバイター
シュージの十八番のネタ、「マン臭のきつい女」はおおむね以下の内容だ。
『クサいマンコの女っているよねー。けっこういい女だったんだけど、その女超クサかったのよ。クビとか、おっぱいをペロペロ舐めてるまではまだよかった。だけど、ヘソの辺りまで下りていったら、何かクサいのよ。あそこに到達するころにはもーう限界。「おぇー」ってなってさ。クサいぞバカって、その女ベッドからたたき出しちまった。まー、それが今のカミさんなんだけどね』
どうだろう。なんてセンスのいい老人ではないか。
これをこなれた口調でまくし立てるんだ。
この話は何十回と聞かされたが、何回聞いてもあきなかった。
葬式には、ざっと300人は参列していた。シュージの人徳ゆえであろう。
最後に、喪主である奥さんが参列者に挨拶をした。
奥さんは、涙をみせず気丈にふるまった。涙が出たよ。
奥さんはシュージより、7歳年上だったが、さすが旅館の元女将。色気の残滓はじゅうぶんすぎるほどただよっていた。
「あんなキレイな奥さんのマン臭がきついとはねー」
いっしょに参列していたバイト仲間の川上がつぶやいた。
不謹慎とは思ったが、湿っぽいことが嫌いなシュージ。あの世で笑ってくれているに違いない。
ご冥福をお祈りいたします。
※当サイトはある人物の依頼により立ち上げました。当サイトに登場する人物や職場などはすべて架空のものですが、実在する人物に取材をし、その方の話をモデルにし、本人と特定できないように大幅に修正しております。
コメント