吉田ゴンザブロー
老人アルバイター評論家。昭和24年生まれ。老人アルバイターの生態を解析し、世の中をぶった斬っている。某私立大学経済学部卒。中小食品メーカーに入社。部長職に上り詰めたが、定年退職手前で会社が事実上倒産。現在はとある事情から、スポーツクラブの会員専用駐車場と大手コンビニ弁当工場のダブルワーカー。彼こそが、真の老人アルバイターであり、自他ともに認める人格者でもある。(写真はイメージ)
吉田ゴンザブローです。肩書は老人アルバイター評論家。
老人のアルバイターの生態を分析し、それを通して世の中をぶったぎる仕事をしている。
最近、「老人アルバイターのすすめ」なんてみんなをあおっているが、実際のところ、老人がアルバイトをしているところを見るのは、自分を見ているようでとても身につまされる。
この前も嫌なものを見てしまった。
それは、「お前プロだろー。」という叫び声からはじまった。
近所のコンビニのレジで、50代のサラリーマンが、手際の悪いアルバイト店員にそう叫んでいた。「お前プロだろう。」、「早くせーや!」と。
そのバイト店員はまさに「老人アルバイター」だった。
私は、その怒鳴ったおやじが許せなかった。何がプロだ。最低賃金に毛の生えた程度の給料しかもらっていないヤツに「プロ」もくそもない。
腹がたった。許せなかった。その50代の男に何か言ってやりたかったが、気の弱い俺は何も言えず、ただ傍観していた。
私も一時期コンビニのアルバイトをしていた。朝の6:00から9:00まで、週3回。楽だと思っていたが、とんでもない。これほど辛い仕事はないと思った。
最初の頃、レジをうまくこなせず、弁当を温めながら、次の客の会計を流すことができずにいると、ガテン系ふうの40代の男に「おせーぞ。要領よくやれやー、ジジイ」とすごい剣幕で怒鳴られた。
俺の作業要領が悪かったから怒ったのもあるだろうが、本当にそれだけだったのだろうか。
あの時、レジ前でその40代のガテンの携帯が鳴ったが、なんと着信音が葛城ユキの「ボヘミアン」だったのだ。ガテン系は着信音を大音量にしており、どのポケットに入れたかわからず、ずいぶん長いこと着信音は鳴り続けていた。
店は大勢の客であふれていた。みんなジロジロみていた。40代のガテンは、自分の趣味が葛城ユキだったのを他の客に知られたことに腹がたったのではないのか。
まー、いずれにせよ、そのガテンにこっぴどく怒鳴られた。すごく傷ついたしあれは一生忘れない。
だから、俺はコンビニ店員には常にやさしい。
帰り際、その老人アルバイターの店員に、私はそっと囁いた。
「いいんだよ、安い給料なんだから適当にやんなよ。俺は全然きにしてないから・・・。」
その老人アルバイターは、泣きそうな顔を取り繕い、一瞬笑ってくれた。
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