吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年生まれの団塊の世代。シニア世代を代表し、老人アルバイターの特徴を分析。老人の「アルバイト列伝」を日々発信。某私立大学経済学部卒。中小食品メーカーに入社。部長職に上り詰めたが、定年退職手前で会社が事実上倒産。現在はとある事情から、スポーツクラブの会員専用駐車場と大手コンビニ弁当工場のダブルワーカー。「老害」とは言わせんぜ!
俺は、むかし、警備員のバイトを数年やっていた。
警備会社には、あまり若いひとはいない。そして、なぜかぽっちゃりしているヤツが多い。
基本、業務の中での運動量が少ないからだとおもうが、とにかく小太りのじいさんばかりが目につく。
小太り、じいさん、華がないねー。
そんな、ガードマン達をまとめる部署がある。そう、「管制」といわれるポストだ。
「管制」とはいったい何をするポストなのか?
警備員の仕事は、工事現場に出向き、クルマや人の誘導をすることがほとんどだ。
しかし、会社に残って、司令塔みたいな役割を担う人がいる。
これを「管制」というんだ。
現場に配置する警備員の手配。取引先からのクレーム対応。報告を受けての事故処理。
場数を踏んだ、ベテランの社員でなけれがそのポストにつくことはできない。
まあ、大変な業務だよね。
管制のぽっちゃりじいさんに惚れられた老人アルバイター
俺がバイトしていた警備会社の管制業務をやっていたのは、岡崎郁さん(当時66歳)。
巨人の選手と同姓同名だった。
とても感じのいい人で、みんなから好かれていた。
口は悪いが、優しさの溢れる人柄で、若い隊員からお父さんのように慕われていた。
ある冬の朝、俺は無線を取りに会社へ行ったら、岡崎さんが俺を呼び止めた。
「あんた、いつも頑張ってるね。これはほんの気持ちだから、受け取っといて。みんなには言わなくていいからね。」と紙袋をくれたが、それはバレンタインのチョコレートだった。
いつもご苦労様♡。今日も頑張ってね!
たしか、そんなメッセージカードが入っていた。
この時初めて気づいたが、岡崎さんって女だったんだね。
警備会社には、このように、男みたいな女。女みたいな男がけっこういるものだ。
ぽっちゃりしている人が多いから、こんなことがよく起こるんだね、きっと。
岡崎さんは俺に気があってチョコレートをくれたのかは不明だ。
色々調べたが、岡崎さんがチョコレートをくれたのは、俺と「ずりせん」と言われている26歳のきしょい男だけだったから、出来の悪いヤツを励まそうとしていただけかもしれない。
いずれにせよ、キモかったよ。
岡崎さんは、その1年後、糖尿を悪化させ、右足を切断。会社はそのまま退職してしまった。
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