吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年生まれの団塊の世代。シニア世代を代表し、老人アルバイターの特徴を分析。「老人アルバイト列伝」を日々発信。某私立大学経済学部卒。中小食品メーカーに入社。部長職に上り詰めたが、定年退職手前で会社が事実上倒産。現在はとある事情から、スポーツクラブの会員専用駐車場と大手コンビニ弁当工場のダブルワーカー。「老害」とは言わせんぜ!
老人アルバイター評論家・吉田ゴンザブローです。
ほぼ毎日、老人のアルバイト列伝を発信しておりますよ。
俺は老人アルバイターになりたての頃、ハケン会社に登録して、短期のアルバイトなどをしていた時がある。ギグワーカーってやつかな。
相当昔、ある運送会社で仕分けのバイトをしたことがある。
そこで知り合った男は、めちゃくちゃ面白い男だった。今日はこの男の物語を綴ろう。
バイト先で大麻のニオイをかぎつける老人アルバイター
駒田国明(当時61歳)。自称、元葬儀屋。禿げた頭だが、昔は相当な色男だっただろう、見目形がしゅっとしていた。
休憩時間はいつも、いっしょに喫煙室で猥談にいそしんでいた。
ある時、駒田はとなりで喫煙していた若い(20代前半)のバイトらしき男に声をかけた。
「おにいちゃん。昼間っからあったかいものやってんのかい?」
???
若い男は、一瞬警戒した顔で睨みつけてきたが、駒田には、何やら同じニオイをかんじたのか、くったくなく返してきた。
『わかりますか?』
ニオイで、大麻の産地を判別できる老人アルバイター
最初は、何のことかわからなかった。
どうやら、その若いアルバイトは、会社の喫煙所で大麻をいそしんでいて、駒田はそのニオイで判別したのだった。ちなみに「あったかいやつ」とは、大麻のようなダウナー系の草のことをいうらしい。
若い男は、運送屋の制服を着ていたから、直に雇われたバイトなのだろう。
駒田は話を続けた。
「このニオイなら、中国じゃねーな。南米か?」
『あ、はい。よくわかりましたね』
「まーな」
駒田は産地まで言い当てた。
俺には、よくわからない専門用語を使って麻薬の話を少しした後、二人は電話番号を交換し別れた。
あとで聞くところ、駒田は山のほうに大麻の畑をもっていて、そこで育てて販売していたらしい。
「昔、大麻の畑をもっていてね。商品化してそれを売ってけつこう儲けたよ。畑はもう人に売っちまった。でも大麻は今も中々やめられなくてねー。今のお兄ちゃんから、売ってもらおうかと思って電話番号交換したんだよ」
駒田は俺と同じくらいの年齢だから、すでに70歳は超えている。
その後一度も会っていないから、今どうなっているかは知らない。それにしてもクセの強い男だったよ。
老人アルバイターの現場には、変わり者がわんさといて面白過ぎる。
だから、辞められないのさ。
※当サイトはある人物の依頼により立ち上げました。当サイトに登場する人物や職場などはすべて架空のものですが、実在する人物に取材をし、その方の話をモデルにし、本人と特定できないように大幅に修正しております。
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