吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年生まれの団塊の世代。シニア世代を代表し、老人の「アルバイト列伝」を日々発信。某私立大学経済学部卒。中小食品メーカーに入社。部長職に上り詰めたが、定年退職手前で会社が事実上倒産。現在はとある事情から、スポーツクラブの会員専用駐車場と大手コンビニ弁当工場のダブルワーカー。今日のテーマは「老人アルバイター仲間から結婚式に呼ばれたらどうしたらいいのか?」です。
老人アルバイター同士のつきあいはほどほどにしないと痛い目にあう
老人アルバイター仲間は大事だけど、あまり仲良くしすぎるのはよくない。
場合によっちゃあ、関係をこじらせてしまうこともあるからだ。
仕事帰りに、ちょっとお茶でも・・・。これくらいならいいだろう。
そのうち、「飯でも、一杯だけ・・」とエスカレートしていくから、気をつけたほうがいい。
じじい同士で飲み合うと、たいがいは人の悪口か病気の話になってしまい、なんとなく空気が悪くなる。
しまいには、過去の自慢大会が始まり、お互い気に障り関係が悪化するんだよ。
だから、俺は、老人アルバイター同士のつき合いはほどほどにしている。
しかし、1回だけ、バイト仲間の息子の結婚式に呼ばれ、出席したことがある。
3年前のこと。コロナ騒動などみじんもない平和な時代だった。
結論から言えば、結婚式に出席したのは大失敗だった。
この結婚式で、俺は余興で歌を歌わせられた。十八番「お嫁に行くんだね(水原弘)」を披露したんだけど、誰も聞いちゃいなかった。まあ、これはどうでもいい話なので忘れてくれ。
沖縄式の結婚式を見せられた老人アルバイターの話
俺を息子の結婚式に呼んだのは、井之頭信彦(69歳)。
同じバイト先で何年かいっしょにいたかな。
柔和な性格で、昔小学校の教員をやっていたまじめな男。
最初は断ったが、「どうしても」ということで、渋々出席した。
井之頭も息子夫婦も北海道生まれ地元育ち。
新婚夫婦は、地元のなんちゃらとかいう沖縄民俗学研究会で活動し、そこで二人は知り合い結ばれたらしい。
よほど沖縄文化に傾倒したのか、なんと、そこで繰り広げられたのは「沖縄式結婚式」だったのだ。
研究会の仲間達が発起人となり、企画したのはわかるが、バリバリの道産子がやるのはちょっと違うのではないか。
会場の出席者の半数は、研究会関係の人で、わざわざ沖縄から参加している人もいた。
新郎新婦の入場曲は「花〜すべての人の心に花を〜」だった。
『♪泣きなーさーいー』ってやつだ。のっけから沖縄だよ。
まあ、ここまではいい。
新郎新婦の友人代表の挨拶も研究会の会員。「今日は沖縄のすばらしさをみなさんに届けたく、参りました」などたわけたことを抜かしとる。
おいおい、ここは北海道だべ~・・・。
極めつけは、式の後半に行われたフラッシュモブだ。曲は「喜納昌吉&チャンプルーズ」の代表曲『ハイサイおじさん」。
突然、かりゆしを着たスタッフが、両手をあげてハイサイおじさんを踊る。
ここまでくるとさすがに、許せる範囲ではない。
なんせ、これは結婚式。親戚一同全員道産子なんだよ。
次の日、バイト先で井之頭といっしょになったので、俺は怒りをぶつけてしまった。
「なんだ、お前の息子の結婚式。道産子のお前らがなぜ沖縄なんだ、ふざけるなー。俺は怒ってるからな!」
怒りにまかせ、俺は怒鳴っちまった。
『ゴメン。でも、息子夫婦は本当に沖縄を愛しているんだ。許してくれよ』
俺の怒りは収まるわけがない。
「愛してれば何をしてもいいのか?じゃあ、SM愛好者なら、結婚式場でSMプレイをやってもゆるされるのか!人前でローソクたらすのか!!!」
大人気なく極論を述べてしまったが、俺は全然悪くない。
井之頭との関係は、これで決定的にこじれてしまい、その後口もきかない仲になってしまう。
井之頭はその3ヵ月後、奥さんの介護を理由にバイトをやめてしまったよ。
バイト仲間とのつき合いはほどほどにね。
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