吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年1月2日生まれ。シニア・団塊の世代を代表し「老人アルバイト伝説」を毎日発信している。サラリーマン時代はは経理部長を務めていたが、現在はアルバイトを2つかけもつ下流老人。今日のテーマは「団塊の世代回顧録 二人兄弟になりたかった男」です。老人アルバイターはみなさんのの幸せを祈るのみである。
昭和36年の卒業文集を見つけた老人の話
老人アルバイター評論家・吉田ゴンザブローです。
先日、扇風機を出そうと納戸をかたずけていたら、色々へんなものがでてきた。
水原弘のレコード。
ひげダンスの「ひげ」。
近鉄バファローズの太田幸司選手のサインボールがなぜか出てきたりした。
その中に俺が小学生の頃の「卒業文集」もありびっくり。
時間を忘れて見ているととても面白い作文がでてきたのでここに紹介したい。
これは、俺が小学校を卒業する頃だから、昭和36年3月。まだまだこの国もまずしく、不潔極まりない時代だったが、のどかで楽しい日々だった。
卒業文集のテーマは、卒業にちなんでか「ぼくの夢、わたしの夢」だった。当時はわりと現実的なものが多かった。
男なら、高校を出て働き警察官になりたいとか、女ならお嫁さんになりたいとか、無謀なものはあまりなかったな。
しかし、その中で、異様なまでに異彩を放っていた作品があったので、一部引用したい。
二人兄弟になりたかった小学6年生
「二人兄弟になればよかった」 6年7組 辻永洋
ぼくの夢は、二人兄弟になること。
ぼくは5人兄弟の4番目の子供。みんな男でいやだ。
一番上のお兄ちゃんは7つ年上で、ほとんど会ったことがない。二番目のお兄ちゃんは怖い。
三番目のお兄ちゃんは2つ年上だが、ぼくをいじめる。
下の弟は同じ学校の5年生。仲がよくない。
(略)
ぼくは全いんころして、ぼくの気にいる弟をつくってたのしくせいかつしたい。
(全文ママ)
天才的な文章ではないか。
「二人兄弟になればよかった」とは中々ない発想である。不可逆的な夢である。
現実味が全くない話だ。
そして、兄弟「全いん」をあやめようとしている。
それどころか、自分好みの弟を作ろうと企てている。
この辻永という男とは一時期仲が良かったが、とても卑しいヤツで、うちのお菓子を無断でポケットに入れ持ち帰ろうとしたことからケンカになり、卒業時には口もきかない仲になっていた。
こいつは地元の中学を出てから、靴職人になるといって都会に出ていったが、その後の詳細は知らない。
ぜひとも、もう一度会い、この作文の真意を伺いたい。
それにしても昭和30年代はのどかだったね。
でも、もう2度と戻りたくないよ。
※当サイトはある人物の依頼により立ち上げました。当サイトに登場する人物や職場などはすべて架空のものですが、実在する人物に取材をし、その方の話をモデルにし、本人と特定できないように大幅に修正しております。
コメント