吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年1月2日生まれ。73歳老人。シニア・団塊の世代を代表し「老人アルバイト列伝」を毎日発信している。サラリーマン時代は経理部長を務めていたが、現在はアルバイトを2つかけもつ下流老人。今日のテーマは、「介護職員はつらいよ 老人アルバイターが泣いた日」です。
ヘルパー2級の研修でベテラン介護士にいじめられた
老人アルバイター評論家・吉田ゴンザブローです。
老人アルバイターになる少し前、ヘルパー2級(現・介護職員初任者研修)の資格を取ったが、介護の仕事に携わったことはない。
なぜなら、研修でいじめられて懲りたから。
資格といっても、ヘルパー2級なんて、3週間もあれば誰でも取れる。
2週間座学で、5日間実地研修を受ければ、それで有資格者となる。
研修では、「療養型病床群」といって病院と介護施設が合体したところに行かされたが、それはあまりにも辛すぎた。
施設内では、看護師と介護士の間にとんでもないヒエラルキーが存在していた。
看護師は1軍。介護士はその2軍だ。
休憩室も使用することが許されず、倉庫みたいな部屋に段ボールを敷いてご飯を食べていた。
当然、看護師はみな冷たく、誰も口を利いてくれない。
行って10分して、教育係のの小畑とかいうベテラン介護士に怒鳴られた。
「何ぼさっとしてるんだよ!私はあんたを依存してるんの。学校で習ってきたんだろー。何やってるんだ」とののしられて、すぐに心が折れた。
小畑は50代半ばくらいの年齢。背が小さく小太り。パンチパーマのような髪型をしていたが何故か口紅は異常に赤かった。
早く帰りたいと思ったけど、とりあえずヘルパーの資格だけは取りたかったので、我慢して研修だけは行くことにしたが、初日終わって俺の気持ちは萎えていた。
「ありがたや節」を踊り小畑からの信頼を勝ち取るも・・・
教育係の小畑の𠮟責に、すっかりやる気をなくした俺だったが、研修2日目に俺は小畑の信頼を勝ち取ることになる。
それは何やら、その施設の恒例の夏祭りの「練習」の時の話だ。
夏祭りでは、入居者全員(とはいっても動ける人のみだが)で、踊りを踊るらしく、週3回その練習をする。
大きなテレビモニターに「ありがたや節」を映して、それを見ながらみんなで踊る。
その踊りの責任者が小畑だったのだが、みんな白けていて、小畑一人がいっしょうけんめい踊っていた。
俺も、当初やる気がなかったが、ちょっといいとこ見せたくて、わざとらしく踊りまくったら、その姿勢に小畑は大いに感激したらしい。
「吉田さん、あんたエライよ。いっしょうけんめいやってるよね。初日は怒って悪かったね」と褒められたんだ。
『いやー、いっしょうけんめいやれば見ていてくれるんだな』と一瞬勘違いしたものの、その後、入居者の点滴の瓶を割ってしまい、さんざん罵られ、少し泣きそうになった。
無事研修は終了したが、俺は心に誓った。
『誰が、介護の仕事をするもんか、ふざけるなー!』ってね。
その誓いは今も変わらない。
※当サイトはある人物の依頼により立ち上げました。当サイトに登場する人物や職場などはすべて架空のものですが、実在する人物に取材をし、その方の話をモデルにし、本人と特定できないように大幅に修正しております。
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