吉田ゴンザブロー(老人アルバイター評論家)
昭和24年1月2日生まれ。シニア・団塊の世代を代表し「老人アルバイト列伝」を毎日発信している。サラリーマン時代はは経理部長を務めていたが、現在はアルバイトを2つかけもつ下流老人。今日のテーマは「カントリーウエスタン 自称・プロ歌手の老人アルバイター」です。
名刺に「歌手」と入れる老人アルバイター
老人アルバイター評論家・吉田ゴンザブローです。
老人アルバイターには色々な経歴の持ち主がいて面白い。
俺のバイト先のひとつ、大手コンビニエンスストアーの弁当工場に、最近おかしな男が入ってきた。
葛野良仁(69歳)だ。
休憩時間に喫煙室の片隅でおとなしくタバコを吸っていた葛野に声をかけてみた。
「あんた、最近入ったんでしょ。仕事は慣れたかい?」
よほど孤独だったのか、食いついてきた。
『は、はい。いやーまだ全然何もできなくて、ボスの中国人のおばさんに怒られてばかりです』
葛野の部署のボスは中国人のおばさんだ。
たいていは、このおばさんにいじめられ、耐え抜いた者だけが生き残る。
葛野が残れるか少し心配だ。
終業時間がいっしょだったので、少し喫煙室で話をしたら、「葛野といいます。お名刺差し上げます」と葛野はへんな名刺を差し出してきた。
なんと、そこには、「カントリーウエスタン歌手 葛野良仁」書かれてあった。
ふ、またバカが一人いたな。
聞けば、葛野は50年くらい前に、どこかのレコード会社に所属していて、プロ歌手としてデビューしたことがある(らしい)。けっしょく売れずにすぐ止めて地元に戻ってきたが、あきらめられず、仕事をしながら、ライブハウスなんかでライブやってるらしい。
ふ、需要のない話だ。
それにしてもカントリーウエスタンってなんだ。そんなジャンルで50年前にプロデビューできたのかって。
ていうか、何がカントリーウエスタンだ。
歌うのはいいが、名刺まで作るんじゃないよ。
いつかなんか、会社の更衣室にギターを持ち込んできて、「今日、久々バンドメンバーと音合わせするんです。見に来ませんか?」とバカなこと言っていたので、秒で断った。
なんで、69歳の歌うカントリーウエスタンを聞かなきゃなんねーんだよ。
そういや、今日、葛野は仕事でミスをして、例の中国のおばさんにこってり怒鳴られていた。
歌うのはいいけど、仕事をちゃんとやらなくちゃね。
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